2.5万人が利用するeラーニングシステム e-privadoのリプレイス
公益社団法人日本臨床工学技士会


公益社団法人日本臨床工学技士会


公益社団法人日本臨床工学技士会の常任理事である肥田 泰幸様にお話を伺いました。
肥田様:もともとe-privadoは、別のベンダーに依頼して作り上げたシステムでした。システムリプレイスに至った背景としては、より思い通りの機能を実現するために、開発者との距離を近づけること、そしてもう少し柔軟に対応できるベンダーを求めたこと、の2つが大きな理由でした。
以前依頼していたベンダーでは、2次請けの会社が開発を担当しており、開発者と直接コミュニケーションを取る機会が限られていました。そのため、自分の意図が開発者にうまく伝わらないことがあり、理想のイメージを実現するのに時間と労力がかかっていました。
また「この部分の背景色を変えて欲しい」などの細かい変更を相談するたびに、見積もりから契約までのプロセスが必要であり、変更に時間がかかることがありました。契約内容に沿って進めることは当然ですが、信頼関係を基に、より柔軟に対応できるベンダーを求めていました。
肥田様:従来のシステムで抱えていた課題は、Vimeoによる動画配信基盤に年間280万円($18,000)の費用がかかっていたこと、システムのレスポンスが全体的に遅くユーザー体験に改善の余地があったこと、UIデザインや画面構成が良くなく、とっつきにいものであること、の3つです。
eラーニングのコンテンツとして動画を視聴する機能があり、その動画配信にVimeoを利用していました。Vimeoは動画配信を簡単にできる素晴らしいサービスですが、動画の数が多いこともあり、動画配信にかかる費用が年間280万円になっていました。
またシステムにアクセスしてページ遷移やデータ入力などの操作をすると、1〜5秒程度のロードが発生し、ユーザーが必ずしも快適に利用できる状態ではないという課題もありました。
当会ではコロナ禍を機に、オンラインによる学習を推進していくためeラーニングに注力しています。今後ともオンラインによる学習機会の提供は大きなテーマであり、そのシステムをより多くの人に使ってもらうため、親しみやすいUIデザインであることも、リプレイスに至った課題のひとつです。
今回のリプレイスに際し、複数のベンダーに声をかけました。その中でディジョンさんは、意思疎通が取れるチーム体制、柔軟な対応ができることの説明、システム面の課題に対する現実的な対策について明確な方針を示してくれました。
柔軟な対応について正直やってみなければ分からない部分はありますが、神戸から直接会いに来てくれたことや、日々のコミュニケーションの細やかさの部分で、柔軟な対応についても信頼しても良いのではないかと考えました。最後は一番気持ちよく仕事ができる相手はどこかという観点で考え、ディジョンさんに依頼することを決めました。

動画と試験を通して学べるeラーニングシステム
肥田様:プロジェクト開始後から最初の納品まで、長期休暇などを除いて毎週1回の定例会議で継続的に開発者と直接コミュニケーションを取りながら進められました。会議以外でもGoogle Chatで頻繁にコミュニケーションを取りながら、近い距離感でユーザーとベンダーというよりは、同じ目標に向かって動くパートナーのような距離感でプロジェクトを進行できたと思います。
肥田様:設計フェーズで動画配信基盤についてのVimeoからの移行の詳細を相談しました。動画配信をAWSを用いてどのように実現するのかの設計とコスト試算をしてもらい、それを元にAWSで構築することを判断しました。
従来のシステムでは年間280万円ほどの費用が発生していましたが、AWSで構築することで年間30万円以内になるという試算ができ、最終的には年間250万円のコスト削減ができました。
肥田様:クエリを高速化してもらうことで、システムのレスポンスが大幅に改善されました。システムのリプレイス後にユーザー向けにアンケートを取ったのですが、ユーザーからも「動きが速くなった」「アクセスが速くなった」といった声を実際にもらっています。

リリース後の使い勝手に関するアンケート結果
肥田様:デザイン段階では最初にユーザーに与えたい印象の設定、デザインイメージの認識合わせから始め、細かい改善を積み重ねることで納得のいくデザインに至れたと思います。このUIデザインの面でもユーザーからのアンケートで「講座が探しやすくなった」「全体的に見やすくなった」という声をもらっています。

デザイン工程ではFigmaを利用してフィードバックサイクルを回しながら作成しました
肥田様:昨年度に実施したリプレイスが完了し、今年度はさらなる効率化のために入会フローの自動化とインセンティブ提供に取り組んでいます。来年度はインセンティブ提供をより強化していく予定です。
複数年に渡って一緒にプロジェクトを進めていけるベンダーと出会えました。開発チームとの意思疎通が円滑で、柔軟に小回りの効く対応をしてもらえています。
システム開発では大きな会社と一緒に仕事をすれば大丈夫であると思ってしまいがちですが、大きい会社では少なからず腰が重い部分があります。今回は大きな会社からリプレイスをし、柔軟な対応をしてもらえた部分は特に満足しています。
今後とも柔軟な対応で良いシステムをご提供できるよう尽力いたします。インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。

本システムにおける動画配信は、HTTPライブストリーミング(HLS)という技術を用いて、オンデマンド配信をしています。
まずはeラーニングのコンテンツとなる動画を、ユーザーが画面上からアップロードします。動画はS3の所定の場所にアップロードされ、アップロードをトリガーとして動画をm3u8に動画を変換し、S3に配信用データを保存します。
ユーザーが動画を視聴する際は、バックエンド側に動画のプレイリストファイルのURLがリクエストされます。プレイリストファイル内の細切れ動画のパスを、CloudFront経由のpresignedURLに書き換えてレスポンスを返すことで、ユーザーは動画をオンデマンドストリーミングできます。






